頸・肩・腕・手の痛み・しびれと対処法(2)―胸郭出口症候群

庭に咲いた黄色ヒガンバナ

1.胸郭出口とは

頸部から上肢への移行部の胸郭出口には腕神経叢(頸椎から出て主に上肢を支配する神経の根本近くの部分)と鎖骨下動脈が走行しています。これらは解剖学的に圧迫あるいは伸ばされやすく、3か所の圧迫されやすいところがあります(図1)。

体型がなで肩の人は(図2)上肢に重い荷物を持つことで胸郭出口で腕神経叢が伸ばされやすくなります。

いかり肩の人は重いリュックサックを担ぐと鎖骨と第1肋骨で腕神経叢が圧迫され肋鎖症候群が出現しやすくなります(図1)。

図1.腕神経叢の圧迫されやすい箇所
図2.肩の形状

2.胸郭出口症候群の分類と原因

1)頸肋

下の方の頚椎に肋骨が残っている人がいます。頸肋といい下神経幹が押し上げられ、上にある鎖骨との間で圧迫されます。

2)前斜角筋症候群

頸の筋であると中・後斜角筋及び鎖骨で構成される斜角筋三角で腕神経叢が圧迫されます

3)肋鎖症候群

リュックサックなどで鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙が圧迫されます。

4)過外転症候群

肩甲骨烏口突起と小胸筋と肋骨からなる空間が上肢を過剰に外転することで小胸筋が緊張し圧迫されます。

3.検査

以下のテストで手首の橈骨動脈の脈の減弱・消失あるいは症状の出現を見ます。

1)斜角筋三角を狭くするテスト

Adsonテスト:頸部を伸展し患側に回旋し深呼吸し橈骨動脈の減弱・消失を見る。

Morleyテスト:鎖骨の上のくぼみで斜角筋を圧迫し、そこの圧痛と上肢の先への放散痛を見る。

Allenテスト:肩関節を外転外旋し肘を90°屈曲位で、頸部を健側に回旋し橈骨動脈の減弱・消失を見る。

2)肋鎖間隙を狭くするテスト

Edenテスト:胸を張り両肩を下に下げあるいは肩を下に押したり上肢を下に引っ張ったりして、橈骨動脈減弱・消失の左右差を見る。

3)小胸筋圧迫テスト

Wrightテスト:肘を90°屈曲し、肩関節の外転外旋位を強めて橈骨動脈の減弱・消失を見る。


ただし上肢のシビレや痛みはこれだけが原因ではありません。頸部や胸郭出口のほかに色々な原因があります。

上肢や頸の痛みやしびれがなかなか改善しない方は当院をお訪ね下さい。


つくば市 腰痛・痛み マッサージ・はり・運動療法

みどりの鍼灸院


次回はむち打ちはどうなるのか、どのような症状が出るか、どのように対処するかについて紹介します。

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