むち打ち損傷

鶏頭とマリーゴールド

1.むち打ち損傷とは

外傷性頸部症候群といわれ、むち打ち損傷は医学用語ではありません。交通事故で追突されたり、衝突したりした場合に生じます。予期せず突然後ろから追突された場合、頭は最初後ろに伸展し、次いで前に屈曲しその後もう一度後ろに伸展します。この頭の動きはちょうどむちがしなった状態に似ているため、「むち打ち損傷」といわれます(図1)。

追突される方向は必ずしも真後ろばかりでなく斜め後ろや横からだったりしますが、その状況によって損傷の部位は変化し、頸等の組織が伸ばされたり押し縮められたりして損傷します。

図1.むち打ち症

交通事故以外でも、例えば台に乗って壁のペンキ塗りをしていて、後ろに落下し頭を床に打ちつけたような場合や、仰向けに転倒しその際頭を床に打ちつけたような場合もむち打ちになることもあります。

2.症状

むち打ちの症状は2つに大別され、肩・頸部の筋のコリや痛み・動きの制限、手のしびれ、上肢痛などの痛みやしびれのほかに、それ以外の愁訴、めまい、吐き気、頭重等のバレー・リュー症候群が生じます。

3.頚のどの組織が衝撃に弱いか?

図2.むち打ち損傷で損傷を受けやすい組織

図2は実験的に色々な組織にストレッチを加えて損傷するまでの力を測定したものです。縦軸は引っ張り加速度の強さで、横軸は損傷されやすい組織の順番です。これによると筋肉は他の組織に比べ引っ張り加速度が一番弱くても損傷を受けてしまいます。

しかし格闘家の腹筋をバットで殴らせるようなデモンストレーションをしたりするので、筋肉は一番強いのではないでしょうかという疑問がわきます。

筋肉は力を入れ、構えている場合は非常に強くなります。しかしむち打ちの場合、不意に後ろから身構える暇がなく追突されます。つまり筋肉は構えていない場合は非常に弱いといえます。つまりむち打ち損傷では筋肉が真っ先に損傷を受けやすくなります。

その結果むち打ち損傷患者さんの場合、頸の筋肉のコリや愁訴が長く続くことが多いようです。また追突されても直後は症状がなく、その後に徐々に頸のコリや愁訴が出てくることがあり、しかもその症状が長引き、症状の因果関係で加害者ともめることがあったりして、とにかく厄介な怪我なのです。

4.対処法

鍼灸院に来院される患者さんは慢性期になっており頚・肩等の痛みが残っている方が多いのです。頸部や肩の筋肉は固くなり、循環が悪い状態であるため、それらをやわらげ循環を良くしてあげることで、痛みやコリ・不定愁訴をやわらげてあげます。しかし慢性期の硬くなった筋肉を完全に和らげることができないため、時間がたつとまた痛みなどが生じてきます。したがって自主エクササイズを教え、自分でできる限りの対処をしてゆくことと、定期的に治療を受けることが必要です。

むち打ちの後遺症でお悩みの方は当院をお訪ね下さい。

つくば市 腰痛・痛み マッサージ・はり・運動療法

みどりの鍼灸院


次回はむち打ちの症状の一つバレー・リュー症候群について紹介します。

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