内反膝(O脚)へのアプローチが載っている成書

筆者が勤務していたつくば市の大学の校庭の雪景色

内反膝(O脚)へのアプローチが載っている成書を2冊紹介します。

1)姿勢コントロール Jane Johnson著 武田功、弓岡光徳監訳 医歯薬出版 2017

この本はO脚の直接的な矯正の仕方が書かれており、現実的に少しでも足の形の矯正やO脚による痛みの軽減をするための方法が述べられています。

O脚の下肢で短縮した筋と伸長された筋をそれぞれ大腿部と下腿部に分類したものが表1です。

部位短縮した筋伸長された筋
大腿部大腿部大腿四頭筋
股関節内旋筋群
薄筋
半腱様筋、半膜様筋
股関節外旋筋群
大腿二頭筋
下腿部腓骨筋膝窩筋
後脛骨筋
長母指屈筋
表1.O脚で短縮した筋と伸長された筋

治療は以下のように行います。

  1. 引き延ばされた下腿の筋である後脛骨筋と足指の屈筋をセラバンド等を使って筋力強化
  2. 股関節を外旋方向に持ってゆくテーピング。
  3. 膝関節の内反を矯正するテーピング。これは外側側副靭帯損傷に行う方法と同じになります。
  4. 大腿部の内転筋群に痛みが出やすいためにその部分のマッサージ。
  5. 股関節外転筋群のストレッチング:これはO脚になると体重をかけたときに膝が外側にしなってしまいます。それを防ぐため下肢全体の外側にある筋群が緊張するため、ストレッチするのだと思います。

2)筋性疼痛症候の臨床観察(上下巻) 小林紘二著 MT-MSP勉強会 2021

この本はO脚で下肢のどこに痛みを生じるかを多くの患者さんの治療経験から割り出し、その痛みをとることを主眼に置いています。

O脚変形膝の片脚に体重をかけると、膝が体重により外側にたわみます。それを押さえるために下肢の外側の部分が過緊張し、痛みを生じてきます(図1)。具体的な部位は表2になります。

図1.下肢に体重をかけたときの下肢外側の安定作用
出典:小林紘二著 筋性疼痛の臨床観察下巻 MT-MSP勉強会 2021
部位疼痛発生組織
大腿外側腸脛靭帯
大腿二頭筋
外側広筋
大腿筋膜張筋
大殿筋
殿筋々膜
大腿内側半腱様筋
薄筋
表2.O脚により緊張する組織

大腿部内側に生じる痛みの原因としてO脚による曲がった下肢の内側の筋が、大腿骨の内側の出っ張った骨(大腿骨内側顆)で圧迫され痛みを出すと考えられます。これらの筋に対しては下肢筋全体を含め筋の硬くなったところ(硬結)を何らかの方法で柔らかくしてゆきます。

これら2つの成書の方法は即効性のある手技ですが、根本的には前回、前々回に説明したようにO脚変形を修正する方法と併用する必要があります。


O脚による痛みで困っている方は当院をお訪ねください。

つくば市 慢性腰痛・痛み専門 マッサージ・はり・運動療法

みどりの鍼灸院

次回は膝の痛みと対処法で同感するところが多いことが書かれている本を紹介します。

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