初回に続き腰痛・臀部痛・腰下肢痛の原因の一つ、脊椎疾患について説明します。
脊椎を原因とする疾患には、変形性脊椎症、腰部椎間板ヘルニア、椎間関節性腰痛、脊椎分離・すべり症、骨粗鬆症、圧迫骨折、脊柱管狭窄症、結核性・化膿性などの脊椎炎、脊椎腫瘍、強直性脊椎炎、その他多くの疾患があります。
変形性脊椎症
変形性脊椎症は、椎骨に骨棘(こつきょく、骨にできるとげ)ができたり、椎間板が悪くなったり、椎間関節(上下の椎骨をつないでいる関節)の変性を起こすものです。それが強くなると脊柱管の狭窄を起こしたり、神経根を圧迫したりします。
この病気は老人男性に多く円背(えんぱい、脊柱が前に倒れて背中が丸くなる状態)になったり、腰部の反りがなくなったりします。そのため姿勢が悪くなり、姿勢を重力に対抗して保つために背中の筋肉が疲労したり、背中の変形のため血流が悪くなったりするため、鍼灸マッサージの適応となります。
また理学療法により姿勢を矯正することで、背中のコリや痛み、全身状態やバランスを改善することができます。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨のカルシウムが減少し、骨梁(こつりょう、骨のはり)が減少し、骨の壁である骨緻密質が薄くなって骨がもろくなります。しりもちをついて椎体(脊椎の柱部分)の圧迫骨折を起こしたり、脊柱が曲がってきたりします。
老人性の骨粗鬆症と閉経後骨粗鬆症が圧倒的に多くなります。これは低タンパク質、低カロリーでの重労働のような人、老人女性に多くみられます。
転倒による骨折は寝たきりの4大原因の一つになります。
次回は脊椎疾患のうちの脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニア、椎間関節性腰痛について説明します。