前回はDaniel Keownが著した「The Spark in the Machine(閃く経絡、医道の日本社)」の成書を中心に説明しました。経絡はファシアであるとの主張でした。
Tomas W. Myers の著した「ANATOMY TRAINS 第3版 医学書院」は筋膜のつながりについて説明しています。筋膜のつながりは10種類としています。ファシアは内臓や筋肉を包む膜であり、筋膜はファシアの一部であるのですが、経絡の多くはTomas W. Myersの説明する筋膜の流れと似ています。今回はその類似点についてみてゆきます。
経絡図は代田文誌著「鍼灸治療基礎學」第7版を使用しています。
■ 画像出典元 ■
代田文誌 著「鍼灸治療基礎学 : 十四経絡図譜解説 改訂増補第7版」 医道の日本社 1969
トーマス・W.・マイヤース 著「アナトミー・トレイン : 徒手運動療法のための筋筋膜経線 第3版」医学書院 2016
1.手の太陰肺経とディープ・フロントアームライン
手の太陰肺経は親指の先から始まり、上肢前面やや外側を通り、乳頭の下第2肋間に終わります。筋膜のつながりの1つであるフロントアームラインはスーパーフィシャルとディープの2種類があります。そのうちのディープ・フロントアームライン第3,4,5,肋骨から上腕二頭筋を通り、拇指外側につながっています(図1)。図を見ると非常に似通っていることが判ります。
図1.手の太陰肺経とディープ・フロントアームライン(図の左手)
2.手の太陽小腸経とスーパーフィシャル・バックアームライン
手の太陽小腸経は手の小指の外側から始まり上肢の後ろを通り第7頸椎から眼・耳に行きます。
スーパーフィシャル・バックアームラインは後頭骨稜・項靭帯・胸椎棘突起から上腕骨外側上顆を通り、手指背側面につながります。両者は頸と顔の部位が異なるようですが、概略は似ています。
図2.手の太陽小腸経とスーパーフィシャル・バックアームライン(図の左手)
3.手の少陰心経とスーパーフィシャル・フロントアームライン
手の少陰心経は脇の下から上肢内側を通り子指の先に行っています。スーパーフィシャル・フロントアームラインは大胸筋から上腕骨内側線を通り、手掌指先に流れています。
図3.手の少陰心経とスーパーフィシャル・フロントアームライン(図の左上肢)
4.手の少陽三焦経とディープ・バックアームライン
手の少陽三焦経は薬指の端で起こり上肢の後ろを通り、眉の外端で終わります。バックアームラインはスーパーフィシャルとディープの2種類があり、ディープ・バックアームラインは後頭骨稜、項靭帯から上腕三頭筋を通り、手指背側面につながっています(図4)。
図4.手の少陽三焦経とディープ・バックアームライン(図の右手)
次回は筋膜ラインと経絡の共通点の後半を説明します。
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