徒手によるモビライゼーション、牽引

庭に咲いた原種シクラメン

1.脊柱の検査と徒手モビライゼーション

① 頸椎

  • うつ伏せで頚椎棘突起を両拇指で押す(図1)。

    図1.頚椎棘突起を押す
  • うつ伏せで頚椎横突起を拇指で一側ずつ押す。
  • 頸椎の側方移動:仰向けで人差し指MP関節で横から押す

頸椎は敏感なところなので、骨の状態など事前にチェックし細心の注意が必要です。

②胸椎、腰椎

  • うつ伏せで豆状骨を胸腰椎の棘突起に当て押す。
  • 臀部側の人差し指、中指で胸椎横突起を押さえ、頭側の手根で横突起を押す。
  • うつ伏せで片方の胸椎横突起を押し回旋する。

    図2.胸椎横突起を押す
  • 腰椎屈伸:側臥位で両足関節を持ち、股関節を屈伸させ、棘突起間を触診。
  • 腰椎側屈:側臥位で股関節を90°屈曲し、両下肢を持ち上げ棘突起間を触診。
  • 腰椎回旋:うつ伏せで両膝を90°屈曲し両足首を持ち回旋し棘突起を触診。

以上の方法は脊椎個々の関節へのモビライゼーション的アプローチ法のため、難しいものもあります。以下の方法は脊柱の全体的な牽引や関節圧迫、離開なので比較的取り入れやすいと思います。

2.徒手による介達牽引

牽引の効果はモビライゼーション的効果もありますが、特に次のことが主な効果と考えられます。

イ 関節内圧の減少

ロ 軟部組織伸張による関節可動域改善

ハ 軟部組織伸張による痛みの軽減

また徒手による牽引には単に牽引する方法と牽引した状態で震わしたり揺らしたりする方法があります。

① 頸椎牽引

  • あおむけで前腕を後頭部に入れ、他方の手を顎に引っ掛け、前腕を回内させて引っ張る。上部頸椎は真っすぐ、下部頚椎は頸部を屈曲させて行う(図3,4)。

    図3.徒手による頸椎牽引(上部頸椎)

    図4.徒手による頸椎牽引(下部頚椎)

② 腰椎牽引

  • あおむけで両下肢を屈曲しセラピストの膝の上に両足底を乗せ、股関節を手前に引く(図5)。

    図5.徒手による腰椎牽引
  • 高いテーブルやバランスボール(図6)に覆いかぶさり腰の力を抜く。

    図6.下肢の自重で腰椎をけん引する。

③ 腰椎椎間関節の圧迫、離開(図7,8)

仰向けで患者の肩と骨盤を逆方向に引っ張り体幹をねじり最終域でリズミカルにストレッチを加える。股関節を屈曲すると下部腰椎(図7)を、0°姿位にすると上部腰椎(図8)に刺激が加わるとされます。右上側臥位で施術したのち左側臥位も同様にすると、片方の椎間関節は離開(圧迫)され反対側の椎間関節は圧迫(離開)され、椎間関節を交互に離開、圧迫することで痛みが検出された椎間関節に刺激を与え痛みの軽減を図る。

図7.下部腰椎椎間関節モビライゼーション
図8.上部腰椎椎間板モビライゼーション

刺激を強くするには患者の上肢を外転・伸展する。
腰部椎間関節の障害は腰椎下部に多く出ます。

④ 股関節の除圧

あおむけ、ゆるみの姿位で引っ張る


次回は距腿関節の矯正法について説明します。

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