距腿関節の動きを出す、傾きを治す

庭に咲いた福寿草

1.距腿関節とは

距骨とは下腿の脛骨の下で踵骨(踵の骨)の上にあり、わかりにくい骨です。足首や膝の変形では距骨が重要です。

2.距腿関節(脛骨と距骨との関節)のモビライゼーション

足首の硬さの主な原因として距腿関節の動きの悪さの可能性があります。

距骨の傾きの異常は色々なケースで生じる可能性があります。その異常を治す前に、距腿関節の動きが悪い場合は、まずその動きをよくするのが良いと思います。その方法として以下の3つがあります。

① 離開

距腿関節を引き離します。背臥位になり足をベッドの端から出します。距腿関節は底屈10°、回内・回外中間位でゆるみの姿位になり、距骨を両側からつかみ下肢に沿って引っ張ります。距腿関節の一般的な運動制限に役立ちます。

② 後方への滑り

しゃがみ込んだときに踵が床につかない場合、距骨が前に出ている可能性があります。その原因として扁平足や外反母趾が考えられます。

背臥位になり足をベッドの端から出します。アキレス腱あたりに砂嚢を置き、ゆるみの姿位にて親指と人差し指の間の水掻き部分を距骨に置き上から押します。

足関節の背屈制限のある場合に有効です。

図1.前から見た距腿関節

③ 前方への滑り

腹臥位になり足をベッドの端から出します。ゆるみの姿位にて親指と人差し指の間の水掻きを距骨と踵骨の間に置き押します。足関節の底屈制限のある場合に有効です。

図2.後ろから見た距腿関節

3.距骨の傾きの異常を治す

① 内傾(図3)

外反母趾、X脚、O脚、XO脚で生じることがあります。足首が曲がった状態で走行を繰り返すとアキレス腱炎を、膝のX脚は大腿骨内顆と大腿二頭筋の腱が膝の屈伸でこすれ鵞足炎を起こす可能性があります。O脚の場合膝の内側・外側痛が生じます。またランニング等で膝の屈伸を繰り返すことで半腱様筋、半膜様筋の腱が大腿骨の外踝とこすれて腸脛靭帯炎が生じやすくなります。

XO脚については膝のシリーズで説明しています。

膝・足の痛み
「膝・足の痛み」の記事一覧です。
図3.距骨の内傾

対策としてX脚、O脚、XO脚に対処することが根本的な方法になります。外反母趾は足首が図のようになることで足部の内側に体重がかかり足部の内側縦アーチがつぶされる原因が重要です。距骨への直接的アプローチは外果とアキレス腱の間、外果と踵骨との間の硬いところをやわらげ、片膝立ち運動(図5)を試みます。

図4.外側から見た距腿関節
図5.片膝立ち運動(左の姿勢をとり、立てた足の膝を拇趾とⅡ趾の間に向け前方に出します。)

② 外傾(図6)

O脚の人に多いといわれますが、逆にO脚の場合内傾になることもあります。

XO脚でも外傾の可能性があります。

図6.距骨の外傾

対策としてO脚やXO脚が原因であったらそれに対処する必要があり、距骨への直接的アプローチとして、内果とアキレス腱の間、内果と踵骨の間の硬いところをやわらげ、片膝立ち運動(図5)を試みます。

図7.内側から見た距腿関節

③ 前傾(図8)

高いヒールを履く女性に多く、足底筋膜炎、アキレス腱短縮が生じやすくなります。

図8.距骨の前傾

対策としてアキレス腱と内外果の間の硬いところをやわらげ、片膝立ち運動(図5)を試みます。

④ 後傾(図9)

高齢者に多く、膝蓋骨周囲の痛みを生じやすくなります。距骨が後傾していると膝が少し曲がりやすくなり、そのために膝周りに負担がかかりやすくなります。

図9.距骨の後傾

対策として内外果と踵骨の間の硬いところをやわらげ、片膝立ち運動(図5)を試みます。

足首や膝がまっすぐではない、外反母趾、足のお悩みの方は当院をお訪ねください。


つくば市 腰痛・痛み マッサージ・はり・運動療法

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次回は筋力強化の効果、廃用性委縮、サルコペニア、フレイルについて紹介します。


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