【腰痛】多裂筋の役割とストレッチ方法

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1.多裂筋の解剖

仙骨背面から第2頸椎にわたる。個々の筋は横突起と棘突起の間の溝内にあって、上方へ3~4椎骨を超えて斜めに走る。軸椎以下の全椎骨の棘突起につき「腰多裂筋」と「胸多裂筋」「頸多裂筋」の3つの筋肉に分類されます。特に腰多裂筋は図のように骨盤の上端から腰椎のほうに広がっており、仙骨の上で表面に出ており臨床的に重要と思われます。骨盤の一番高いところまで広がっている患者さんを経験したことがあります。

図1.腰多裂筋
出典:金子丑之助著「日本人体解剖学 第一巻」、南山堂、1956

2.機能

多裂筋は、体幹の回旋時に作用する筋で、コアマッスルの一つで多裂筋をストレッチしたりトレーニングしたりすることは、ゴルフやテニスなどの回旋運動を円滑にし怪我の予防になります。

  • 両側の多裂筋が働くことにより腰を反る(伸展)
図2.右の写真は多裂筋が緊張した姿勢
出典:鈴木俊明編「体幹と骨盤の評価と運動療法」、運動と医学の出版社、2018

多裂筋が緊張すると第3腰椎が前方移動し腰椎が前腕し骨盤が前傾します。

  • 反対側の多裂筋が働くことにより脊椎をひねる(回旋)
  • 同側の多裂筋が働くことにより脊椎を横に倒す(側屈)
  • 脊椎と脊椎同士を連結させ、脊柱を安定させる(固定性)

以上の働きのほとんどは大きな動きはなく、わずかに動く程度ですが、多裂筋は胸腰筋膜を介して腹横筋と連結します。そのため、多裂筋が働くと同時に、横隔膜や腹横筋、骨盤底筋群が同時に収縮します。

図3.横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群

3.ストレッチ法

腰痛のある人の中で多裂筋が悪い人がいるため、押して痛みがあるかを確かめる必要があります。多裂筋は脊柱の棘突起と背筋の間のへこんだところを指先などで真下に押し込み、圧痛があるかを調べます。そこに問題があれば以下のような対応をします。

① 自主的ストレッチ

ワンハンドクロックはネットの動画で見た頸椎から腰椎迄の多裂筋を順にストレッチする方法で、とても良いと思いとり上げました。

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かるたをとる姿勢になり片手を12時から1時~5時くらいの位置まで手を順に5回ずつ置いて戻す(図4、5,6)。肩を入れ多裂筋を伸ばすようなつもりで行う。この練習後体前屈が改善します。

図4.右手を前に出し戻す
図5.図4より左の方に手を出し戻す
図6.左手の手前に右手を入れ戻す

② 他動的ストレッチ

うつ伏せの姿勢で多裂筋は腰椎の棘突起のすぐ際を指先で押し込むと触れることができます。背筋(最長筋、腸肋筋)はその外側の表面にあります。

腰痛の際多裂筋が痛みを出していることが良くあります。うつ伏せになり圧痛個所を指などで圧迫して揉捏することでストレッチ・鎮痛効果が得られます。多裂筋が背筋の下にある部分は背筋の上から奥の方に届くように強く圧迫し刺激します。

4.筋力強化法 *多裂筋のホールドリラックス

① 壁を背にして椅子に座り両膝を縛り、息を吸いながら頭を壁に5秒ほど押し付けながら膝を外転します。その後息を吐き力を抜きます。多裂筋の強い収縮後に力を抜くとより強い弛緩が起こって多裂筋に血液が流れ込み血流を回復し体幹前屈角度が増大します。(図7,8)

図7.多裂筋強化
図8.多裂筋弛緩

② 横に寝て片手で骨盤、他方の手で胸郭下部をつかみ骨盤回旋に抵抗をかけます。その後力を抜き胸郭と骨盤を反対方向に動かしストレッチします(図9,10)

図9.多裂筋強化
図10.多裂筋ストレッチ

③ 四つ這いで片手を前方に挙げる。片足を後方に挙げる。片手と反対側の片脚を同時に挙げる。(図11,12)

図11.多裂筋強化(1)
図12.多裂筋強化(2)


腰痛でお悩みの方は当院にお越しください。

つくば市 腰痛・痛み マッサージ・はり・運動療法

みどりの鍼灸院


今年も多くの方にお世話になりました。皆様の健康を願っております。

次回からは肩甲骨、肩甲上腕リズム、肩関節について説明してゆきます。

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