
「東洋医学はなぜ効くのか」山本高穂 大野智 BLUE BACKSの成書を中心に私見を交え説明してゆきます。
1.ゲートコントロール理論(図1)
(1)軽擦や圧迫の効果
ゲートコントロール説とは、痛みのある部位から神経を伝って信号が脊髄の後ろの部分(脊髄後角)に伝わります。その信号を脳に送るT細胞への信号伝達を膠様質のSG細胞(Substantia Gelatinosa細胞)がコントロールします。
T細胞は、脊髄で生まれ胸腺(Thymus)で成熟するリンパ球の一種で、免疫系において病原体や異常細胞を認識・排除する中心的な役割を持つ細胞です。
SG細胞は、脊髄後角に存在し、痛みの伝達を調節する重要な役割を果たす抑制性介在細胞です。SG細胞は興奮系細胞と抑制系細胞のネットワークを作っており、そこを痛み刺激が駆け巡り調節されます。
痛みの場合は細く伝達速度が遅いAδとC神経を通りSG細胞の働きを抑制します。その結果T細胞が興奮して脳に痛みが伝わります。
「圧迫」や「さする」の皮膚刺激をすると、太く伝達速度が速いAβ神経を通りSG細胞の働きを活発化するため痛みが抑制されます。痛いところを圧迫したり、なでたりすると痛みが和らぐのは日常経験するところです。
以上からこのメカニズムは軽擦法や皮膚鍼(皮膚をローラーなどで刺激する)、指圧などに当てはまり、臨床では強い揉捏をすると皮膚や組織を痛めますので、最後に軽擦法を行うと効果があると思われます。

(2)鍼の脊髄における効果
長引く痛みやケガ、心理的ストレス、病気などによる慢性痛の場合はSG細胞のネットワークが混乱しています。鍼灸の効果は内因性オピオイド(体内麻薬)を分泌することにより痛みを改善します。
また鍼灸刺激により脊髄での痛覚の伝達物質であるサブスタンスPの分泌が低下します。その結果鎮痛効果が生じます。
長引く痛みやケガ、心理的ストレス、病気などによる慢性痛にお悩みの方は当院をお訪ねください。
次回は「東洋医学はなぜ効くのか」(3)鍼灸の脳での作用―の説明について紹介します。
