良い姿勢とは
横及び真後ろから見たいわゆる「良い姿勢」といわれる姿勢は図1のようになります。
成人男性の立位を横から見ると、耳垂(じすい、耳たぶ)―肩峰(けんぽう、肩の先)―大転子(だいてんし、大腿骨の横に出っ張った部分)―膝関節中心のやや前方―足の外くるぶしの5~6cm前方が一直線になります。
立位姿勢を真後ろから見ると後頭隆起(後頭部の真ん中)―脊椎の棘突起―殿裂(お尻の割れ目)―両膝関節内側の真ん中―両内くるぶしの中心が一直線になります。
以上が理想的なアライメント(体の部分部分の配列)であるとしています。
出典:中村隆一他著『基礎運動学6版』 医歯薬出版 2003
姿勢のチェック方法
この姿勢から外れるといわゆる悪い姿勢となり、いろいろな問題が出てきます。
常習的に肩こりや腰痛に悩まされている原因の一つに、姿勢の悪さがあります。
姿勢のチェックは以下のように行います。
1)膝を伸ばしてあおむけに寝る(図2)
チェック1.
腰や背中に手が入る=背中が緊張している、股関節が十分に伸びないので骨盤が前傾し背中が反る
⇒立つと股関節がまっすぐにならず前かがみの姿勢になる
⇒上体を支えるために腰に負担がかかる、背中が凝る。
チェック2.
手のひらが上を向いていない=肩甲骨が前のほうにある(巻き肩)ために上肢全体が内側に回り(肩の内旋)その結果手のひらが上に向かない
⇒背中が丸くなっている状態
⇒背中が凝ると同時に胸が大きく広がらない=肺機能の低下
チェック3.
仰向けに寝た姿勢で、頭の上から観察すると、床と肩までの高さに左右差がある。あるいは自然立位の姿勢で前から見て肩の高さが違う。=巻き肩に左右差がある
⇒片方の肩ばかり使っている⇒肩こりの原因
チェック4.
仰向けに寝た姿勢で両爪先が横に開いていない=股関節が緊張している
⇒股関節が伸びないので膝が曲がり前かがみの姿勢になりがちになる
2)頭部の前方突出(図3)
図3の左は耳と肩の先(肩峰)が垂線になり正常です。
図3の右では頭の重さを支えるために背中の筋が常に緊張し肩こりの原因になります。
現代では仕事での長時間のパソコンの使用やスマホの長時間の利用により頭部が肩峰より前に出ることに加え頸椎の前弯が減少してきます(ストレートネック)。
出典:Jane Johnson著『姿勢コントロール』 医歯薬出版 2017
3)腹横筋(ふくおうきん、図4)の萎縮
腹横筋は腹圧を高め深呼吸するために重要な筋です。背中が曲がっているとこの筋が萎縮し、胸郭の一番下のでっぱりから骨盤までの間に指が4本ほども入らなくなります。
⇒腰痛や頸の痛み、横隔膜を十分に動かせず肺機能が低下する。
出典:鈴木俊明監修『体幹と骨盤の評価と運動療法』 運動と医学の出版社 2018
4)股関節の柔軟性検査
うつ伏せで膝を人の手で曲げてもらい踵がお尻につかない(図5)
⇒股関節が十分伸びず前かがみの姿勢になる可能性がある。
5)座位や立位で左右均等に体重がかかっているか
6)壁を背にした立位姿勢のチェック
壁を背にしてぴったり体をつけ、腰の隙間が背中まであるか。
手のひらが体の横にあり前を向いているか。
手を交互に挙上、膝を交互に挙上、足と手を同時に挙上、片膝立ちをして左右差を観察する。(図6)
⇒左右差がある場合その原因を探す。
膝があげにくい場合、歩行時に股関節を曲げる筋が弱く骨盤を回旋して歩いている可能性があります。
図6.壁にぴったりついて立ち、片手を交互に挙げる、片手片脚を交互に挙げる、膝を交互に挙げる。
7)自然立位で横から見て膝が曲がっている(図7)
この姿勢はお尻と膝に力が入らず、股関節、膝関節をまっすぐにすることができず
⇒股関節が屈曲し骨盤が後傾している⇒背中が丸くなる
ちょこちょこ歩きになり、腹横筋が萎縮し、胸をすぼめた状態になるため肺機能が低下する可能性があります。
次回は姿勢の悪さによって起きる腰痛や肩こりの対策を説明します。
ご自分の姿勢をチェックしたい方は当院を訪ねください。
つくば市 慢性腰痛・痛み専門 マッサージ・はり・運動療法
みどりの鍼灸院