鍼灸とは

伊豆西海岸黄金崎

鍼灸とは

鍼灸は一般に「はり・きゅう」または「しんきゅう」と呼ばれ、疾患や症状に適した体の部分に金属の細い針を刺入したり艾(もぐさ)を置いて燃焼させたりなど、生体に刺激を加えることで身体に備わっている病気を治す力を高めて元気にする治療法です。

鍼灸の歴史

鍼灸は東洋医学あるいは漢方医学の一分野として中国に起源をもつ我が国の伝統的医療です。6世紀の初頭、飛鳥時代に仏教伝来と時を同じく渡来したと云われています。以来明治時代初期までは、鍼灸は漢方薬と共に医学の主流として広く人々に活用されていました。

明治政府により医学の主流は西洋医学になり、鍼灸・漢方は非合法化されました。しかしその後、鍼灸・漢方の効果が認められ、明治35年に合法化されました。

現在、鍼灸は西洋医学における医療費の高額化や副作用の問題などの欠点を補う治療法として、また鍼灸の持つ免疫の活性化・血行改善・恒常性機能亢進などの作用から健康維持・増進が期待できる治療として注目され、米国や欧州では鍼灸の利用が非常に盛んになっています。

図1.鍼灸の道具(左から中国鍼、日本の鍼、ローラー鍼、置き鍼、温灸)

鍼施術の方法

細いステンレス製あるいは銀製の鍼を身体に刺入します。刺入の方法として2つあります。

① 管鍼法(かんしんほう)

ストロー状の管に鍼を入れ、少し出た鍼の柄の部分を軽くたたくことにより痛みなく皮膚を突き抜け、その後鍼を目的の深さまで刺す。

② 撚鍼法(ねんしんほう)

鍼を直接刺す。


刺した鍼の扱い方には色々な方法があります。

  1. 単刺(たんし):刺入した鍼をすぐ抜く。
  2. 雀啄(じゃくたく):刺入した鍼を上下に動かす。
  3. 回旋:刺入した鍼を回旋する。
  4. 振せん(しんせん):刺入した鍼を振動させる
  5. 置鍼(ちしん):刺入した鍼を10~15分とどめておく。
  6. 通電:刺入した鍼を電極にして微弱な低周波を流す。
  7. 鍼を刺入せず専用の道具で皮膚を摩擦・接触・押圧する。
  8. 置き鍼:中心に痛みを感じない短い鍼がついた皮膚に貼り付けるもので、目的箇所に長時間貼り付けておく。
  9. 灸頭鍼(きゅうとうしん):刺入した鍼の柄の部分に球状のもぐさを刺し燃焼させ、鍼の機械的刺激と灸の温熱刺激を同時に与える。
図2.灸頭鍼

灸とは

艾(もぐさ)を用いて身体に熱刺激を加える方法です。艾を直接皮膚上で燃焼させ灸の痕(あと)が残る有痕灸(ゆうこんきゅう)と、灸の痕を残さない無痕灸(むこんきゅう)に分けられます。

皮膚上で艾を燃焼させる有痕灸はあまり行われなくなりましたが、免疫活性に非常に効果のあることがしられています。

無痕灸には以下のような方法があります。

① 知熱灸(ちねつきゅう)

米粒ほどの艾を直接皮膚上で燃焼させ、患者の気持ち良い熱さで消火する、あるいは艾を取り除く。

② 温灸(おんきゅう)

艾を皮膚から距離を置いて燃焼させ、輻射熱で温熱刺激を与える。

③ 隔物灸(かくぶつきゅう)

皮膚上に生姜・にんにく・味噌・塩などの介在物を置き、その上で艾を燃焼させる。

④ 機械による灸

艾や火を使用しない灸。

鍼灸はなぜ効くのか

ヒトの身体には病気やケガを自分で治す自然治癒力や、外から入ってくる病原体から身を守る免疫力が備わっています。傷害を受けるとそれらのシステムが働きだし、身体に様々な反応が起こります。鍼灸治療は目には見えない微細な傷や小さな火傷を作ります。

またヒトの身体には痛みを抑制する様々な仕組みが備わっています。

  1. 血管を拡張させて新鮮な血液を呼び込んで新陳代謝を高める。
  2. 血液循環を良くし、免疫細胞の増加・活性化をする。
  3. 皮膚や筋肉の血液循環を改善する。
  4. 傷害を負った部位の修復を促進する。
  5. 白血球を呼び寄せて傷ついた部位から感染することを防ぐ。
  6. 痛みを抑制する仕組みを働かせるきっかけになる。
  7. 内臓の働きを調節する自律神経を整える。
  8. 身体の持つ恒常性維持機能を高める。
  9. 疾病の予防、健康維持・増進をする。

あん摩・マッサージ、指圧にも同じような効果があると考えられます。

西洋医学との比較

ドイツと米国において、緊張性頭痛・片頭痛・膝関節痛・腰痛の4つの疾患について、大規模な比較研究が行われました。その結果、片頭痛の有効性だけは鍼治療と最新の西洋医学的治療がほぼ同等でしたが、その他3疾患の有効性と、片頭痛を含む4疾患すべての安全性、経済性は鍼治療の方が優れているという結果が報告されました。それ以来ドイツ・米国では鍼治療に保険が適応されるようになりました。今ではむしろ日本の方が鍼灸の普及に遅れをとっているという残念な状況があります。


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