
当院に来られる方は、仕事が長時間パソコンの前に座っていて体の調子が悪いという人が非常に多くなりました。電車通勤などの場合駅では結構徒歩が多く、運動になっているのですが、最近はリモートで仕事をすることが多くなっています。時間的にも体力的にも楽なのが利点ですが、一日中座りっぱなしで運動不足の可能性が出てきます。この傾向は今後ますます増大すると思われます。「座りすぎが寿命を縮める 岡浩一郎 大修館書店」という本が2017年に出ています。それによると日本人の成人が一日に座っている時間は約7時間で、世界20か国の先進国のデータと比較して最長であることが判っていると述べています。
1.パソコンの前に座りすぎで生じる可能性のある不具合
運動不足により起こる体の諸問題、疲れ目や近視、スマホ首、猫背、背中のコリ、巻き肩、肺機能の低下、内臓の圧迫、腹筋のゆるみ、股関節の詰まり、下肢のむくみなどが考えられます。
前述の書籍では、座りすぎによるがんのリスク、作業効率低下、子供の体力低下による学力低下、老化などを挙げています。
2.座りすぎが健康リスクを高める仕組み
体重に対して筋肉量は30~40%が理想とされています。そのうち下肢の筋肉は筋肉全体の70%あるといわれます。筋肉は収縮することで静脈血を心臓に送り込もうとするmilking actionあるいはpumping actionという機能があります。下肢の筋肉は第2の心臓といわれ、立ったり歩いたりしてふくらはぎや太ももの筋肉が収縮することで心臓の働きを助けています。長く動かないと血流が悪くなり、血液の粘性が高まったり血管の内皮細胞に十分血液が行かなくなったりして心血管疾患につながります。
逆に運動をするとインスリン感受性が高まり、同時にインスリンによらない糖輸送を高める物質が出ることによる相乗効果で糖の利用が高まります(図1)。

以上から心臓の働きが弱い人や糖尿病のひとの予防・治療に運動が使われます。もちろん運動する場合は医師の診断が必要です。
3.座りすぎを改善する方法
①長時間パソコン作業するときは以下のようなことを考慮する必要があります(図2)。下記の注意点は眼や身体的不調を改善する方法です。

②体を動かさなければいけない環境を作る
私事で恐縮ですが、私はニワトリ飼育が趣味です。そのために毎日餌と水をやりに冬の寒い時期でも行かなければいけません。犬を飼っている方は毎日散歩させる必要があります。このように動かざるを得ないような環境を作ることで、どうしても動く必要があれば、体を動かすことを長く続けられる一つの方法と思います。自分の趣味が結果的に運動に結び付くといいのですが。
③立って動く習慣を身に付ける
電車やバスで通勤されている人は一駅前で降りて歩いて帰宅する、短い距離はなるべく車を使わない、発酵食品や漬物を作ったり、掃除や家事を当番制にしたり、DIYや庭仕事、家庭菜園などで体を動かしたりすることは、健康にも経済的にもよいことが多いのです。
しかし足腰等に痛みがあると力が出ず、動くことや運動自体ができません。まず痛みを楽にすれば、体を動かす気が起き効果的に運動できるのです。
痛み等でお悩みの方は当院をお訪ねください。
次回からは若々しく歩くために重要な股関節について説明します。
