長く立つ、歩くと腰が痛くなるのはなぜ?
重力による影響
立っていると重力に対して姿勢を保つための筋肉(抗重力筋)が反射的に収縮を起こしています。
その一つに背筋(脊柱起立筋)があり、長く立っていると脊柱起立筋が持続的に収縮し血液が行かなくなり発痛物質が産生されます。
慣性の法則による影響
歩行の場合、動いている物体はその動きを続けようとするという慣性の法則が生じ、体幹が前かがみになり重力で前に倒れるのを防ぐために背筋が働きます。
上体の左右への振れによる影響
歩行時は左右への体重移動が起こりますが、上体が左右へ振れるのを抑えるため、立った足と反対側の脊柱起立筋は強く収縮します。
以上の理由のため背筋は長く立っていたり、長く歩いたりすると収縮が続き、血流が悪くなり腰痛を生じやすくなります。
長く立つ、歩くことによる腰痛への対策
休めの姿勢をとる/台の上に片脚を乗せる
「きをつけ」の姿勢は姿勢をまっすぐにするために背筋を強く使います。
「休め」の姿勢は片足を一歩前に出し、後ろ足に体重を乗せる姿勢です。そうすると上体がやや後ろに傾き背筋をあまり使わずに済みます。台の上に片脚を乗せると「休めの姿勢と」ほぼ同じような姿勢になります。
この姿勢をとると、重力に抗して姿勢を保つために骨や靭帯を使い、背筋をあまり使わないで済むのです。「休めの姿勢」は筋肉を使わないで済む、まさに立っている時の休める姿勢なのです。
長時間の立ち仕事で腰が痛くなる人は時々「安めの姿勢」をとったり、「片脚を台の上に乗せ」たりして休むと少し楽になります。
背筋のストレッチ
立ち仕事の多い人は、時々椅子に座って背筋をストレッチするといいでしょう。
背筋のストレッチの詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。
腰を反ると腰が痛くなるのはなぜ?
背筋の収縮と腹筋の緩みによる影響
腰を反らせるために背筋が収縮します。背筋を痛めている人はそれだけでも痛みの原因になります。
反対の働きをする筋肉群の一方が収縮するとその動きをスムースにするために反対の働きをする筋肉が緩みます。これを「相反神経支配」といいます。
背筋は体を反らせる筋肉で、これが収縮すると脊柱を圧縮する方向に力が働きます。同時にその反対の体を曲げる筋肉である腹筋が緩みます(相反神経支配)。
腹筋は収縮すると腹圧が高まり、脊柱を上下方向に引き離す力が働きます。腹筋が緩むことで脊柱に対して重力による圧迫力が増してきます。特に腰を反るわけですので背筋の収縮による脊柱圧迫と相まって椎間板の後ろ側が圧迫されやすくなります。
腹筋の働きと背筋の働きについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
筋肉が押し縮められることによる影響
高所に物を上げると腰が反ります。その結果背筋(脊柱起立筋)が押し縮められ(短縮)同時に収縮を起こし、同時に椎間板後部が圧縮されます。
筋肉は押し縮められると嫌な、耐えがたい痛みを生じます。これを短縮痛といいます。腰を反らせると痛みが出るのは主に背筋にこの短縮痛が出るためです。
一方、筋は適度に引き延ばされると痛いのですが、心地よい痛みが生じます。これは伸張痛といいます。
とはいってももちろん強く引っ張りすぎると耐え難い痛みになります。
腰を反ることによる腰痛への対策
高いところに物を上げるときは、踏み台を使用し、なるべく腰を反らないようにするとよいでしょう。
もちろん腰を反ると痛みが出る人は、腹筋の強化と背筋のストレッチも有効です。
ご自分でやっても、痛みが取れない場合、あるいは工夫しなくても歩く時の痛みをなくしたい方は当院をお尋ねください。
つくば市 慢性腰痛・痛み専門 マッサージ・はり・運動療法
みどりの鍼灸院
次回は朝、寝床から起き上がるときなぜ腰が痛いのかについて説明します。