軟性コルセットと骨盤ベルト
介護職に腰痛が多い理由は以前に説明しましたが、腰痛の際によく処方される写真のようなダーメンコルセット(軟性コルセット)があります。
図1.ダーメンコルセット
これは痛めた背筋(脊柱起立筋)を動かさないようにすることと、コルセットで背筋を押さえることで動作中にあまり収縮をしないで済むようにすることで痛みを押さえ回復を待つ方法です。しかし介護の仕事をする際は体を前に曲げなければならないことが多く、このような腰を曲げるのをブロックするものをつけていては仕事になりません。
そのため介護職の方は骨盤ベルトをつけて仕事をしている人が多いようです。
骨盤ベルトで腰痛が和らぐ理由
骨盤ベルトは腰のところにかかっておらず、骨盤の周りを締めているだけです。それでも腰痛を和らげる効果があるのです。その理由を説明します。
ベルトは大殿筋(おしりの筋)と中殿筋(骨盤の横についている筋)を覆っています。大殿筋は体幹を前に曲げてから体幹を起こすときに骨盤の上が前に傾くのを防止し後方に保つ役割があります。(図2)
図2.歩行時に上体が前に倒れ、骨盤の上が前に回るのを防ぐため大殿筋が働く。
歩行すると慣性が前方に働くため、上体が前に倒れ、骨盤の上が前に回り、体が倒れないように背筋が常に収縮します。大殿筋は骨盤の上が前に回るのを防ぐため、背筋が強く収縮しないで済みます。その大殿筋をベルトでしっかり押さえることで、その結果体幹を伸展に保持させる背筋を補助します。背筋が痛い場合、強く収縮しなくてよいので痛みが少なくなります。大殿筋自体が痛い場合には骨盤ベルトがサポーター代わりにもなり、大殿筋の痛みを和らげることができます。
また歩行時は骨盤が左右に揺れますが、その横揺れを防ぐため中殿筋が交互に収縮します。
図3.立っている足のほうの中殿筋が弱いと骨盤が外側に振れる。
中殿筋が弱いと浮かしている側の骨盤が下がり、立っている側の骨盤が横に移動します。その結果バランスをとるために脊柱が曲がってしまい、片方の脊柱起立筋が収縮を起こします(図3)。
中殿筋が強ければ骨盤の左右の揺れを防止することにより、そのようなことが起こりにくくなり、背筋の収縮が少なくて済み、痛みが出にくくなります。
骨盤ベルトはその中殿筋を支えるため結果的に中殿筋の力が強くなります。
また腰回りをベルトで締めていると腹部も押さえます。そのため腹筋の力を補助しますので、腹圧が高まり脊柱を引き離す方向に力が働き、背筋の緊張を減少させる反応も生じます。このことも背筋の痛みを減少させる一助になります。
使用しているコルセットについての疑問や悩みがありましたら、一度当院をお訪ねください。
つくば市 慢性腰痛・痛み専門 マッサージ・はり・運動療法
みどりの鍼灸院
次回は腰痛体操をまとめて説明します。