1.内臓からの関連痛
内臓が悪いと体の前面や背部に痛みやコリが生じる現象があります。これを内臓からの関連痛といいます。
例えば心臓が悪いと、左肩や左上肢に異常感覚を感じたり、胸に痛みが出たりします。胃が悪いと背中の脊柱近くにコリが生じたりします。
逆に体表に出た症状に対して刺激を加えることで、内臓に働きかけることができます。内臓への鍼灸やあん摩マッサージ・指圧はこの体表に出た症状(コリや違和感)に刺激を加えて内臓に働きかけるという治療理論を使ったものです。
松尾芭蕉の著した「奥の細道」に「足の三里に灸して旅に出る」との記述があります。
足の三里(ツボ)に刺激を加えると胃の蠕動(ぜんどう)運動が増すことが確かめられています。体調をしっかり整えてから旅をする必要があるということでしょう。
(注)足の三里;膝の外側下で腓骨頭と脛骨との間のツボ
背中に出たコリがそこ自体が悪いのか、内臓からくる関連痛かを判別する必要があります。見分け方として、そこが悪い場合はある程度押すと痛がりますが、内臓からの関連痛の場合はかなり強く押しても痛がりません。こんな方法で私は判別しています。
2.筋からも出る関連痛・関連感覚
筋からも関連感覚・関連痛が出るのです。
出典:トリガーポイント・マニュアル : 筋膜痛と機能障害 Janet G. Travell, David G. Simons[原著] ; Barbara D. Cummings図 ; 川原群大監訳 エンタプライズ, 1992.3-
背筋(✖のところ、腰方形筋)に生理食塩水を注入すると、その下のほうやおしりに関連感覚が出てきます。この本では全身の筋に同様の方法を行って発生する関連感覚を調べています。
まず痛みや違和感があったらその部分を調べ、そこが悪くなかったら上のほうを順々に押して調べていきます。押したときに自覚した症状のある部位に症状が出たら、そこが最初の症状を出している原因の部位になります。
つまりお尻に痛みや違和感を感じていた場合、そのおしり自体から症状が出ている場合と、そこを調べても悪いところが見つからない場合があります。後者の場合はそこから順に上のほうを探っていき、悪いところを探していきます。
背中や腰の痛みの原因がわかりにくい方は、ご相談ください。
つくば市 慢性腰痛・痛み専門 マッサージ・はり・運動療法
みどりの鍼灸院
今回で一応腰に関する連載を終了します。
次回からは肩の痛みについて説明してゆく予定です。