五十肩、石灰沈着性腱板炎、腱板断裂、上腕二頭筋炎
■ 症状
五十肩は腰の後ろに手が回らない、髪を整える際に手がうまく上げにくい等、肩関節が痛んだり動きが悪くなったりします。そのため夜にずきずき痛み眠れないことがあります。
■ なぜ五十肩というのでしょうか?
中年以降、特に50歳代に多くみられますが、なぜ五十肩というのでしょうか。
肩関節を外側に回す(外旋)に棘上筋、棘下筋、小円筋があります。また内側に回す(内旋)筋に肩甲下筋があります。これらは一緒になり腱板(けんばん)という組織にまとまります。これらの筋を腱板筋といいます。机上で手を使う作業をする際に、腕を移動するために前腕を重力に抗して少し持ち上げる必要があります。
その時に使われるのが肩関節の外旋筋です。肩の外旋筋は棘下筋と小円筋です。五十肩ではまず棘下筋と小円筋が痛むのです。
しかも作業している間持続的に長時間軽い収縮を続けなければいけないのです。そうすると腱板が持続的に引っ張られるストレスがかかってきます。また筋への血流が長時間悪くなることで栄養が行かない状態が続いてしまいます。
20歳前後の大学生の腱板筋の圧痛を調べた結果、ほとんどの学生に肩関節外旋筋の圧痛がみられました。キーボードを操作したり、書字をしたりすることの多い学生や社会人は、若いころから、この肩関節の外旋筋を使っています。これが長年積み重なり中年になって腱板筋が収束している腱板にストレスがかかってくると考えられます。それがひどくなると、腱板内にリン酸カルシウム結晶がたまり、急性の炎症となる(石灰沈着性腱板炎)につながり、はなはだしくは肩の使い過ぎのため右肩に多い(腱板断裂)の原因の1つになると考えられます。
五十肩はひどくなると上腕二頭筋も痛みを起こしてきます(上腕二頭筋炎)。この筋は肘を曲げるだけでなく、腕を上に挙げる筋の補助筋でもあるのです。机上の作業を長期間続ける人は腕をやはり重力に抗して少し持ち上げておく必要があります。そのために長年の積み重ねで痛んでくると考えられます。
■ 予防と治療
肩の外旋筋が持続的に収縮することで、筋を栄養する毛細血管が持続的につぶれ筋に酸素が行かなくなります。その結果痛みを出す物質が出たり、その筋が収縮したりすることで筋の長さが短くなり腱板にストレスがかかってきます。
そのためには保存療法としては腱板を構成する筋を緩めてやればいいのです。その方法として腱板筋のストレッチやマッサージをすることで、腱板へのストレスを和らげ、血流もよくなり痛みも和らげることができます。
急性の石灰沈着性腱板炎では石灰を吸引する方法などがあります。腱板断裂では保存療法で痛みと運動障害が治らないときには手術を行います。石灰沈着性腱板炎や腱板断裂を起こすとなかなか厄介です。そこまでいかないうちにストレッチなどの手入れをしておきましょう。
棘上筋は腕を少し前や横に持ち上げておく筋です。机上作業では腕を少し持ち上げておく必要があり、この筋が長時間等尺性収縮を余儀なくされ、血流が悪くなり痛んでくるのです。
五十肩では棘下筋と小円筋の痛みは必発といっていいくらいです。肩より少し高い位置で柱の角などに手をひっかけ、体重を後ろに引いて、体重の重みで当該筋をストレッチします。
上記のストレッチでもよくならない場合は当院にお越しください。
つくば市 慢性腰痛・痛み専門 マッサージ・はり・運動療法
みどりの鍼灸院