筆者が行っているあん摩・マッサージの理論と方法4-内臓からの関連感覚-

筑波大学実験植物園のクレマチス

内臓が悪いと体表に関連感覚としてコリや関連感覚が出てくることがあります。これを内臓体性反射といいます。

内臓からの痛みを分類すると不関連痛関連痛があります。例えば狭心症の場合不関連痛として胸骨直下の深部痛があります。関連痛として左肩や左上肢に痛み・しびれが出てくるのは有名です。

反対に反応が出ている体表を刺激することで、内臓に働きかけることを体性内臓反射といいます。鍼灸、あん摩・マッサージ、指圧などはこれを利用した治療法です。皮膚や筋を刺激して自律神経機能を調節してゆく方法です。

鍼灸、あん摩・マッサージ、指圧など刺激の伝達経路として脊髄性反射上脊髄反射に大別できます。例えば胃が痛いときお臍の上にショウガを6~7mmにスライスして乗せ、その上にもぐさを乗せ火をつけて温めると胃の痛みが和らぐことがあります。これは皮膚―消化管反射といい脊髄性反射を利用したものです。別の方法として四肢・足指の皮膚に(足の三里のツボが有名です)お灸や鍼をすると迷走神経を刺激して胃や小腸の蠕動運動が活発になり胃の不調を改善します。これは体性―胃興奮反射といい、上脊髄反射を利用した方法です。その機序として与えた刺激が脊髄に入りその情報が脊髄を上行する間に迷走神経に刺激が入り生じる反応と考えられます。

松尾芭蕉(図1)の奥の細道の出だしに「足の三里(あしのさんり)に灸して旅に出る」という記載があり、昔は旅をすることは大変な体力がいるので、お灸で胃の調子を整えてから旅に出るということなのでしょう。その「足の三里」ツボの刺激で胃の蠕動が増すことが確かめられています。

図1)松尾芭蕉

下部胸椎の反応が出ている背筋を刺激し、胃に働きかける体性―内臓反射を利用する方法もあります。

上半身のコリをやわらげてあげると、血圧が下がります。これは体の筋のコリがあることで血液が組織にいきわたるために心臓が強く血液を押し出さなければなりません。そのため血圧が高くなると考えられます。コリをやわらげてあげることで血液が組織まで行きやすくなり、血圧が下がると思われます。

背部にコリがあるときにそこの背筋が悪いのか、内臓からの関連痛かを調べる方法として、筆者はコリのある背筋を強く押して痛みが耐えられないような場合は、そこ自体が悪いと判断します。内臓が原因で背中にコリや痛みが出ている場合は相当強く押してもあまり痛がりません。

いずれにしてもその症状がどこから出ているかを調べることが重要です。それが判れば何をやればいいかの方針が出てきます。

背中のコリや体の不調で悩んでいる方は当院をお訪ねください。


つくば市 腰痛・痛み マッサージ・はり・運動療法

みどりの鍼灸院


次回は筆者が行っているあん摩・マッサージの理論と方法(筋硬結がなぜできるか、コリの出やすい箇所)について紹介します。

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