胸椎のストレッチ
胸椎は軽く後ろに曲がっている(後弯)のが正常です。異常な場合は円背(えんぱい、ねこぜ)になることはもちろんですが、最近は平らになっている方を見かけることが多くなりました。理由としてスマホ使用やパソコン作業が多くなり、頭を前方に出して長時間続けると頸椎の前弯がなくなりまっすぐになるいわゆるストレートネックが多くなりました。
正常な脊柱は横から見るとS字状(頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯)になっており前後からの外力に対し立位を安定させています(図1)。ところが頸椎、胸椎が平らになると立位を保つために腰椎も平らに近づく様になります(ストレートバック)。その状態では力学的に前後からの外力や頭の重さに対し弱い構造になり、その弱さを補うために筋肉が常に収縮しなければならず頸や背中、腰のコリや痛みの原因になります。
また胸椎の動きが少ないと腰椎や頸椎に負担がかかるため、やはり肩こり、腰痛の原因になります。従って円背には後弯を少なくし、胸椎が平坦な場合には後弯を作り、胸椎の回旋の可動性も高める必要があります。
胸椎平坦に対する運動(図2)
仰向けで両肘を後ろで立て胸をへこませます。
円背に対する運動(図3,4,5,6、7)
胸郭を拡げたり、腹式呼吸をして腹横筋を鍛えたり、背筋を鍛えたり、ストレッチポールを使ったり、巻き肩を矯正したりする運動等があります。
うつ伏せで両肘を立て胸を落とす。
ストレッチポール上で両手で床を掃く
出典:(財)日本コアコンディショニング協会(著) 監修:平沼憲治 岩崎由純「コアセラピーの理論と実践」講談社 2011
横向きで両手を頭の後ろに組み、上の下肢を前に曲げ、下半身を動かさないで顔を上に向ける。
股関節のストレッチ(図8)
股関節の硬さの検査方法としてうつ伏せになり膝を曲げてもらいお尻に踵がつくかどうかを調べます。
もし硬い場合片方の下肢を前に出し膝を曲げ下腿を図のように曲げ、他方の下肢を伸ばして、上体を前に倒します。上体を伏せれば大殿筋がより強くストレッチされます。そのあと上体を起こします。伸ばした下肢は腸腰筋がストレッチされ、曲げた下肢は大殿筋と股関節内旋筋がストレッチされます(図8)。
膝関節のストレッチ(図9)
長坐位になり膝を伸ばして踵が少し挙がれば膝の伸展は正常です(図9)。
踵が上がらなかったらハムストリングスとアキレス腱のストレッチをします(図10)。
肩関節のストレッチについては以前HPに挙げた肩の痛み(2023.7.15~2023.9.1掲載)をご参照ください。
深層外旋六筋(梨状筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、大腿方形筋)のストレッチ
お尻の奥の方のコリや痛みが取れにくいことがあります。そのような場合は股関節の外旋筋が悪いことがあります。胡坐をかく習慣の人は外旋筋が短縮し、硬結がある場合があります。
その場合のストレッチ法は
1. 仰向けで股関節を内旋位にし他方の足を大腿部に乗せ、
2. 上の足で大腿部の膝近くを押し股関節の外旋筋をストレッチします(図11)。
気になるところのストレッチの方法を知りたい方は当院をお訪ねください。
つくば市 腰痛・痛み マッサージ・はり・運動療法
みどりの鍼灸院
次回はあん摩・マッサージ、鎮痛メカニズムについてまとめた説明をします。